【最重要】横須賀市の生成AI全庁導入 — 削減見込22,700時間に対し実削減22,800時間
- •ジチタイワークス主催セミナー(2026年6月5日、自治体職員限定・申込232名)のDay2レポートより、横須賀市デジタル・ガバメント推進室 太田耕平部長の講演。極めて具体性が高く、本市への質問材料として今週最良のソース。
全文を読む
11.【最重要】横須賀市の生成AI全庁導入 — 削減見込22,700時間に対し実削減22,800時間
ジチタイワークス主催セミナー(2026年6月5日、自治体職員限定・申込232名)のDay2レポートより、横須賀市デジタル・ガバメント推進室 太田耕平部長の講演。極めて具体性が高く、本市への質問材料として今週最良のソース。
数字と手法:
- 令和5年3月29日の市長指示から1か月足らずの4月20日に全庁活用を開始(全国の自治体に先駆けて)
- 利用量は開始当初の月2,000万トークンから、現在は月1億トークンに達する月も(ファイル添付を除く純テキスト)
- 当初見込みの年間業務削減22,700時間に対し、実際の時間外勤務削減は22,800時間とほぼ一致
- 幹部の説得は資料ではなくその場での実演デモ(市長の過去発言を読み込ませた市長ボット)で突破=「百聞は一デモにしかず」
- 定着策:40〜50代の管理職層をターゲットに内部広報誌「ChatGPT通信」を創刊し毎週プロンプトを配信。職員がチャットボットにハルシネーションを起こさせようと挑む「ほこたて対決」など「まじめにふざける」空気づくり
- 一部部署からの限定利用ではなく全庁導入を選んだのは、部署を超えて教え合う文化を生むため
直面している2つの壁(ここが最も示唆的):
- 市民向けサービスのハルシネーションの壁 — 「傾聴AI」は悩みを聴き寄り添うためのものと案内しているが、住民は具体的な行政手続きの答えを求めて質問してしまい、曖昧な回答で低評価を受ける
- 内部向けの三層分離の限界 — 採用しているαモデルのセキュリティ構成では、インターネット側の最新AIから内部ファイルサーバーへシームレスにアクセスできず、業務全体を覆う基盤にならない。この壁を越えるため全庁業務基盤のGoogle Workspaceへの移行に着手(背景に、GIGAスクール構想でクラウドを使いこなして育った世代が2029年4月に入庁するという節目)
CIOの見立て: 「AI活用議員」を掲げる竹中市議にとって、これは質問の型が完成しているソース。特に「三層分離の壁」は全国どの自治体にも共通する構造問題であり、仙台市が同じ壁のどこにいるのかを問うことで、市のAI活用の実態を一気に可視化できる。また「削減見込みと実削減がほぼ一致した」という検証実績は、本市に定量目標と事後検証を求める根拠になる。前項1の定員管理計画(DX効果が定員に表れていない)とも一本の線でつながる。
議会質問案(今週の目玉):
「横須賀市は令和5年4月、市長指示から1か月足らずで生成AIの全庁活用を開始し、当初見込んだ年間削減22,700時間に対して実際の時間外勤務削減が22,800時間と、ほぼ見込みどおりの効果を検証しています。本市の生成AI活用について、一つ、導入時に設定した年間削減時間の目標値、二つ、その達成状況の検証結果、三つ、月間の利用量(トークン数または利用職員数・利用回数)の推移を、それぞれ具体的な数字でお示しいただきたい。」
「横須賀市は、インターネット側の生成AIから内部のファイルサーバーへアクセスできない『三層分離の壁』により、生成AIが業務全体の基盤になり得ないと課題を明示し、全庁業務基盤そのものの刷新に着手しました。本市においても、過去の行政文書を参照させた高度な文書作成へのニーズは同様にあると考えます。本市の生成AI環境は三層分離のどのモデルを採用し、庁内文書の参照はどこまで可能か。またこの制約を解消する構想を持っているか伺います。」
「横須賀市は市民向けの『傾聴AI』について、手続きの正解を示すものではないと案内しているにもかかわらず、住民が具体的な手続きの答えを求めてしまい低評価につながる、というハルシネーションの壁を率直に公表しています。本市が市民向けにAIを用いたサービスを提供する場合、誤った回答が市民の不利益につながらないよう、どのような線引きと責任の所在を定めるか伺います。」
「横須賀市は、管理職層向けの内部広報誌を毎週発行し、職員が自らAIの限界を試す企画を行うなど、『使われ続ける仕掛け』を意識的に作っています。本市には、生成AIを導入部署任せにせず全庁に定着させるための継続的な仕掛けがあるか伺います。」
12. 千代田区のギフトカード給付 — 10人体制の業務が兼務2人で完結、約7万枚を15日間で配付
東京都千代田区が令和7年7月・令和8年4月の2度にわたり、全区民にVisaギフトカード(第1弾5,000円相当/第2弾1万円相当)を給付。国内約750万店舗で使えるプリペイド型で、令和8年6月時点で全国60自治体が採用。
- 職員負担: コロナ禍の現金給付では専属4人+応援数人の約10人体制だったが、本事業は兼務2人で対応可能に
- スピード: 12月末の臨時議会可決から4月頭の配送開始まで3か月、約7万枚を約15日間で全区民に配付
- 住民の受け止め: 「給付方法はカードで問題ない」が54%
- 議会対応: 現金給付では示せない消化率・区内利用状況のデータを議会に提示でき、それが後押しになった
※ 本記事は事業者提供のPR記事である点に留意。
CIOの見立て: 物価高騰対策の給付は今後も繰り返される。「議会に対して効果を数字で説明できる給付手法」という論点は、議員側から提起する価値が大きい。現金振込は口座確認・申請回収に膨大な工数がかかるうえ、使われたかどうかも地域内で使われたかも一切分からない。
議会質問案:
「物価高騰対策等の給付事業について、本市は主に現金振込によっていますが、東京都千代田区はギフトカードによる申請不要の郵送給付を2度実施し、コロナ禍に約10人を要した体制を兼務2人で完結させ、全区民約7万枚を約15日間で配付しています。加えて、消化率や市内でどの程度使われたかというデータを議会に示せる点を効果として挙げています。本市においても、給付手法の選択肢としてギフトカード等の非現金手法を検討したことがあるか。検討していない場合、現行の現金給付における1件あたりの事務コストと給付までの所要日数をどう把握しているか伺います。」
13. 名古屋市の非常時通信改革 — 約500カ所に1,000台以上のモバイル端末を配備
名古屋市が従来の移動系デジタル防災行政無線を刷新し、モバイル通信ベースの公共安全モバイルサービスを採用。本庁・16区役所・6支所に加え、災害救助地区本部となる小学校、医療救護所となる中学校、消防署、防災関係機関など約500カ所に1,000台以上を配備。音声・FAX中心では画像・動画・位置情報を含む被災状況の共有に限界があったこと、機器の製造停止・販売終了への対応が背景。段階的な検証と研修を重ねて大規模配備を進めた点が特徴。
※ 本記事は通信事業者の提供情報(広告記事)である点に留意。
CIOの見立て: 仙台市は東日本大震災の被災自治体であり、防災通信では「先進事例に学ぶ」側ではなく「学ばれる」側であるはずという前提がある。だからこそ、画像・動画・位置情報の共有という現代的な要件に本市の防災通信が対応できているかは問う価値がある。TOHOKU DX GATEWAYの「仙台BOSAI-TECH特別企画」とも接続する。
議会質問案:
「名古屋市は、音声とFAXが中心であった防災行政無線では画像・動画・位置情報を含む被災状況の共有に限界があるとして、約500カ所に1,000台以上のモバイル端末を配備する通信基盤の刷新を行いました。本市の災害時通信手段は、避難所や医療救護所からの画像・位置情報の共有にどこまで対応しているか。また、機器の製造停止・販売終了に伴う更新の見通しをどう立てているか伺います。」
14. 地域活性化起業人制度 — 令和7年度は過去最高の1,215人
民間企業のプロ人材を6か月〜3年受け入れる総務省の制度。企業派遣型904人/副業型299人/シニア型12人の計1,215人(令和7年度)と過去最高を記録。企業派遣型は年間上限610万円/人、副業型は合計上限200万円/人の国の支援がある。副業型の勤務要件は「月4日以上かつ月20時間以上、自治体に月1日以上滞在」。
CIOの見立て: 前項1・11・12と重ねると筋が通る。DXやAIの専門人材を自前で採用・育成するのが難しいなら、副業型で外部のプロを月20時間だけ入れるという選択肢がある。特に副業型は国支援上限200万円と安価で、常勤職員の定員には影響しない。「職員は増やせない、しかしDXは進めたい」という本市の矛盾に対する具体的な処方箋として提示できる。
議会質問案:
「総務省の地域活性化起業人制度は、令和7年度に過去最高の1,215人となり、うち副業型が299人を占めています。副業型は月4日・20時間以上の関与で、国から合計200万円を上限に支援を受けられ、常勤職員の定員に影響しません。本市の定員管理計画が目標を上回る職員数となっている状況の中で、DX・生成AI・データ活用といった専門分野に外部のプロ人材を副業型で迎え入れる考えはないか。本市におけるこれまでの地域活性化起業人の受け入れ実績とあわせて伺います。」